プレーしているときプレイヤーの注意はボールに集中します。
テニスでは、相手が打ったボールをこちらが打ち返すまでに使える時間は1~2秒しかなく、さらに、どちらかが失敗するまでそれを連続して繰り返さなければなりません。
そのため、プレー中はボールに対する高い集中状態を常に維持することが必要です。
ほとんどのプレイヤーは
ラケットで損をしている!
プレーしているときプレイヤーの注意はボールに集中します。
テニスでは、相手が打ったボールをこちらが打ち返すまでに使える時間は1~2秒しかなく、さらに、どちらかが失敗するまでそれを連続して繰り返さなければなりません。
そのため、プレー中はボールに対する高い集中状態を常に維持することが必要です。
ラケットドックでフィットするラケットを見つけ出すためのチェック項目の一つに「伝わる」or「伝わらない」というのがあります。
これは、実際のプレーを見るラケットドックだから判断できることで、一般的なラケット選択には無い視点だと思います。
どういうことかといえば、「プレイヤーのスイングパワーが打球に効率的に伝わるかどうか」という視点です。
誰でもラケットを買おうかと考えるとき、頭に「そのラケットを十分に使いこなせるだろうか」という思いが浮かぶのではないでしょうか。
そこにあるのは、費用対効果の考え方で、極論すれば「ラケットの購入費用に見合った改善が見込めるのだろうか」ということです。
ところが、私どもからすると、これはとっても甘い考えと言えます。
ラケットドックでは、フィッティング中のプレイヤーにいろいろ感想を伺うのですが、その際に、自分の打ったボールについて正確に把握している方が意外と少ないということが分かっています。
ラケットを持ち替えるとプレイヤーの動きが変わるのですが、それに伴って打球も変わります。
具体的には以下のような点に変化が出ます。
飛んでいく軌道の高さ
スピードや回転の量
落ちてからの弾み方
ボールが落ちる場所のバラツキ
ボールの失速度合い
こういうところに変化が出るのですが、打った本人はそれに気がついていないことがとても多いのです。
プレイヤーの打ったボールを横から見ていると、ネットを越えてから失速する打球と、失速せずに伸びのある打球を見分けることができます。
失速する打球はコートで弾むとさらにおとなしくなってしまい、伸びる打球は弾んでからもグンと前に行きます。
ですが、打ったプレイヤー本人にはなかなかその区別がつきにくいのです。
日本のトッププロでも、ニューラケットをテストする際には、ヒッティングパートナーに「今のボールは行ってますか?」と聞きながら打っています。
プロでも自分で判断できないのですから、一般プレイヤーが見分けられないのも当然ですね。
コートサイドで見ていると一目瞭然なのですが、打ってるプレイヤーはとても忙しいので、そこまでじっくり見ていられないのです。
ボールがネットを越えた当たりから、プレイヤーの注意は自分の打球ではなく、相手プレイヤーの動きに向いてしまうことが多いようです。
そのため、ラケットから離れたボールがネットを越えるくらいまでの飛び具合は把握していても、その先になるとあやふやになってしまうのです。
ですから、打ったとたんにスピード感を得られるモデルは、「うん、なかなか良いなぁ」と感じやすく、そのボールがネットを越えて失速していてもあまり気にならないようです。
この辺が「自分では良いボールを打っているつもりだけど、簡単に打ち返される」ということにつながるのです。
よく、球質が重いとか軽いとかいいますが、私はこの「伸び」の問題だと思っています。
打たれたボールが飛んでいるうちに加速することは物理的にありませんので、「伸びがある」ということは、正確には「減速の度合いが少ない」ということです。
空中を飛んでいるときの空気抵抗とか、弾んだ場合はコートとの摩擦抵抗によって、打たれ時からボールのスピードは必ず落ちます。
現実的には不可能ですが、打たれたときから全く減速しないボールが飛んできたら、ものすごい伸びというか、加速しているように感じるでしょう。
ボールが減速することを予測して見ている目には、減速しない(減速が少ない)とスピードがアップしたかのように見えるわけです。
飛んでくるボールに対してプレイヤーは、その減速する度合いを予測しながら待ちかまえます。
その予想より減速の程度が少ない(減速しない)場合に「伸びがある」と感じ、予想より大幅に減速した場合に「失速している、来ない」と感じます。
予想より減速しなかったボールに対しては、プレイヤーの対応は遅れます。
いわゆる「食い込まれた」という状態です。
その時のインパクトは、スイングパワーが一番効率よく伝わるポイントよりほんのわずか遅れることになり、その反作用として、強い衝撃が手に伝わることになります。
少しだけ打ち負けている状態ともいえます。
それが「重い球」が生まれる仕組みだと思います。
その逆のパターンでは、減速度合いが大きいために、打ち返すプレイヤーは準備万端で、しっかり待って打てる状態になっています。
インパクト時点では予測よりボールスピードが落ちているため、予想したより手応えのない打感になって、それが「軽い球」という表現につながるのでしょう。
つまり、球質が重いか軽いかは、ネットを越えて弾んでからの失速する度合いの問題だといえるのではないでしょうか。
打ち返す側にとっては、伸びるボールはコントロールしにくく、失速するボールはコントロールしやすく、かつ強打もしやすくなります。
これはゲーム展開を有利に進めるためにはとても大きな違いになります。
ラリーの主導権を取って攻め続けるのと、打ち込まれてしのぎ続けるのでは、勝てる確率が大きく変わります。
このブログでも「プレイヤーとラケットの組み合わせ、相性としてパワーが伝わりやすいものと伝わりにくいものがある」と書きましたが、この「伸び」についても基本的には同じです。
ラケット自体の性能として「打球に伸びが出るラケット」というものがあるのではなく、プレイヤーとの組み合わせとして、そういう状態があるとお考え下さい。
ラケットとプレイヤーの関係を別なものに例えると、ラケットは人間のプレー能力に対してカギのような存在だと言えます。
カギ自体は大した働きをしないのですが、ピッタリ合った時はプレイヤーの扉が開いて、持っているプレー能力が最大限に発揮されます。
自分にピッタリ合うカギを見つけ出すためには、カギについての情報をいくら分析しても、あまり役には立ちません。
自分がどのカギと合うのかを検証することのほうが大切です。
いろいろ悩みながらラケットを探している多くのプレイヤーは、ラケットというカギの内容を知ろうと努力している場合が多いのではないでしょうか。
プレイヤーという鍵穴に合うカギを見つけるには、とりあえず、差し込んで回してみるのが一番手っ取り早いのですが、それをせずにカギのほうをながめ回しているだけなので、いつまでたっても合うカギが見つからないのではないでしょうか。
ラケットドックは合うカギを見つけ出す最短ルートだと思います。
ラケットドックで見ていると、プレイヤーのスイングパワーがボールに伝わりやすいラケットと伝わりにくいラケットとを判別することができます。
ラケット自体の特性として「パワーが伝わりやすいものと伝わりにくいものがある」というのではありません。
「プレイヤーとラケットの組み合わせ、相性として」そういうことがあるのです。
その関係については特に法則性というものはなく、個人個人のプレイヤーごとにパワーが伝わるラケットが異なります。人それぞれということです。
力を入れて振っているのにボールにあまり勢いが乗らなかったり、逆に、リラックスして振っている感じなのに鋭いボールが行っていたりという違いです。
プレイヤーのスイングパワーが、ラケットを通じてボールに伝えられる際の伝達効率が良いものとそうでないものがあるのです。
ラケットから手に伝わる衝撃感と、プレイヤーの身体反応が合うものと合わないものがあると言い換えても良いでしょう。
ラケットドックでは伝達効率が良い状態を「タッチが合う」と言っています。
スイングパワーがボールに伝わりやすいラケットでは、同時に、プレイヤーの力加減とショットの結果の誤差が少なくなります。
ちょっと押せばちょっと深く、ちょっと力を弱めればちょっと短くという感じで、ショットの深さを自由に調節できる感覚が生まれます。
そうなると、プレイヤーとラケットとの間に強い信頼関係が確立されます。
両者の間にダイレクトなつながりができるわけで、その状態に入っていると、プレイヤーはラケットのことをあまり意識しなくなります。
手の先にあるラケットというものに異物感を感じなくなるために、持っていることをあまり意識しなくなるのです。
アウトやネットのミスでも、その理由が分かる場合と分からない場合があります。
「今のショットがアウトしたのは、タイミング的に遅れていたからだ」などと、ミスの理由が分かる場合は問題ありませんが、ミスの理由が分からないことが往々にしてあります。それが問題なのです。
抑えて打ったつもりなのにアウトしたり、しっかり打ったつもりなのにボールが行かなかくてネットしたりすると、プレイヤーは当惑します。
「あれっ、どうして?」という感じのミスが発生すると、プレイヤーは普通、萎縮してしまい、その後のプレーは安全第一でおとなしくなります。
先ほどのラケットとプレイヤーの関係で言うと、信頼関係がなくなってしまった状態です。
何で叱られたのか分からない子供が、何事にも消極的になってしまうのと同じです。
理由が分からず不安なので、できるだけ安全に冒険をしないでおこうとするわけです。
調子が悪い時って、こんな感じではありませんか。
自分とラケットの間に一体感や信頼関係がなく、何か良く分からないものを握っているような違和感を覚えます。
極端な場合は、ネットしないように気をつけるとアウトして、アウトしないように気をつけるとネットが多くなったりと、何が何だか分からなくなることもあります。
これは、プレイヤーの調子が悪いというより、その時のコンディションにラケットが合っていないのです。
普通は、ラケットとプレイヤーが日によって合ったり合わなかったりするなどとは思われていませんから、自分の調子のせいだと思うのは当然ですね。
過去に私も経験がありますが、こういう状態で試合に負けるととても悔いが残ります。
力を出し切って負けたのなら悔しくはないのですが、いつもならできることが実行できず、自分の力を出せずに終わってしまうのは悔しいものです。
相手との戦いができずに、ラケットとの戦いになってしまうのです。
ラケットを使うテニスというスポーツでは、こうしたことが往々にして起こります。
ラケットドックでは、プレイヤーが「タッチが合う」ラケットに出会うと急にプレーが元気良くなります。
ガンガン打ち出したり、いろいろな種類のショットを打ち始めたり、ショットとショットの間の動きが良くなったりします。
もちろん、ミスが発生しないということではありませんが、その理由が分かるのでプレーが変に萎縮しないのです。
ラケットとの信頼関係を作ることが思い切りの良いプレーを可能にします。