また変なことを」と思われるかもしれませんが、これはあまり知られていないけれど大事なことです。


練習中に自分のショットがアウトしたり、相手の届かないところに打ってしまったりすると、「すいませーん」とか言ってあやまるのが普通ですが、几帳面なプレイヤーは、アウトすると分かったとたんにすかさず声を出します。
技術的に未熟なプレイヤーはミスが多いため、頻繁に声を出し続けるわけです。
こうしたことは、礼儀正しい姿勢だとは思いますが、上達するという目的から見ると不適切な行動なのです。


通常、練習中にミスショットをが発生すると、そのプレイヤーは、ミスしたことに対して何らかのアクションを起こすのが普通です。
がっかりした表情をしたり、腹を立てたり、苦笑いをしたり、悔しがったり、相手に謝ったりといろいろなパターンがあります。
無表情で何も言わないプレイヤーというのは、かなり少ないのではないでしょうか。

練習に熱心に取り組んでいるプレイヤーほど自分のミスに対するアクションも大きく、ミスするたびに「アアー」とか「ヘタクソッ」とか「チクショー」とかいろいろな声を出します。
実は、そのことがミスが減らない原因になっている可能性があるのです。

皆さんも今度コートで観察して欲しいのですが、ミスの後に何らかのアクションを起こすとき、そのプレイヤーの眼はボールから離れてしまうのが普通です。
ミスしてしまったのですから、ボールを見続ける必要がなくなって、眼が離れて当然ということなのでしょう。
こうして「ミスをする⇒何らかのアクションをする⇒ボールのゆくえを見ない」というサイクルが定着するのです。
「すいませーん」と言うときは、ボールではなく相手を見ているでしょうし、ミスが悔しい場合は、意識的にボールから眼を外してしまうでしょう。

ここで気付いていただきたいのは、こうした状態では「ミスの結果を正確に把握できない」ということなのです。
「失敗!」というという思いが強すぎるために、具体的にどんな内容の失敗なのかを正確に把握しないで済ませてしまうのです。

誰でも気持的には「イヤな結果は最後まで見たくない」と思うのが自然ですが、ミスの内容を正確に把握することなく、「失敗」というゴミ箱に素早く突っ込んでしまおうとしている限り、ミスを減らすための道は閉ざされままになるでしょう。

相手コートに入らなかったショットは全部ミスですので、「失敗」ということで、ひとまとめにすることは別に間違いではないと思われがちですが、これから同じミスをしないためには、そのミスの内容を正確に把握する必要があるのです。

仕事などで何かを改善しようとするとき、普通は現在の状況を正確に把握することがスタートラインになります。
単に「状況が良くない」というだけでは、改善のアクションを起こすことができません。
「具体的にどこがどの程度悪いのか」を詳しく知らないと対処はできないのです。
現状把握ができていないのに、ただ頑張ろうと決心するだけでは何も改善しないでしょう。


テニスでも、失敗の内容を正確に把握することがスタートラインです。
アウトしたのであれば、ベースラインから何センチアウトしたのか、ネットであれば、テープから何センチ下だったのかを正確に確認することが、同じミスを繰り返さないための第一歩です。
その結果を見ずに、ただ次は頑張ろうと思うだけでは事態は改善しません。

そして、仕事上の問題であれば、現状把握の次には改善策の立案というステップがありますが、テニスの場合は、あとは身体のほうで自動調整してくれますので、あまりあれこれ考えず、そこで起こったことにズームインして、きちんと認識するだけで十分といえます。
ただ、ミスの結果から目を背けていると、いつまでたっても現状把握ができないので、事態の改善が始まらないのです。

頻繁にあやまるプレイヤーの意識は「あっ失敗、あやまらなくちゃ!」という感じで、あやまることに向いてしまい、ボールに対する集中も維持できません。
ミスしたときにこそ、「その結果を目に焼き付けるくらいのボールへの注視」が必要なのです。
それがミスを減らすための第一歩です。相手にあやまるのはその後でも良いでしょう。


先日、知り合いのダブルスの試合を見ていて気が付いたことがあります。
そのプレイヤーがサーバーで、なんと1ゲームに3回のダブルフォールトをして、当然のごとく、そのゲームを落としたのですが、6本のサーブは全てネットだったのです。
おそらく、そのプレイヤーの頭にはネットしたという事実がきちんと把握されていなかったのではないでしょうか。
自分のやったことですから、ネットしたという漫然とした記憶はあるでしょうが、ネットからどれくらい下だったのかは見ていないでしょう。

ネットしたとたんに、「あっ失敗した」という思いが浮かび、その後は「また失敗した」、「次も失敗するんじゃないか」というような状態だったと思われます。
緊張する試合では、誰もがミスを犯したくないと思うのですが、失敗を恐れるあまり、ミスに対する心理的な動揺が大きくなり、冷静に事実を把握するという作業がおろそかになることがあります。

このサーバーも、「さっきは10cm、今度は15cmネットより下だった」と冷静に観察する眼を持っていれば、その情報を受けて、身体の動きはそうならないように変化しますので、同じミスを続けることはなかったでしょう。


余談ですが、ダブルフォールトが多いと自認するプレイヤーの方は、セカンドを打つときに「今度もネットするんじゃないかな」という思いが頭をよぎることはありませんか。
そして、そういうときは必ずダブルフォールトになったのではないでしょうか。
もしそうであれば、その理由は簡単です。
自分の身体が自分のイメージしたとおりに動いただけなのです。

もし今度そういう思いが浮かんだら、「ごめんなさい」をして仕切り直し、良いイメージに切り替えてから打てば悪いイメージのまま失敗するということが防げます。

不得意なショットを治そうとする場合は、そのショットの結果について、常に冷静に、かつ、注意深く観察することが改善のスタートラインです。

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ほとんどのプレイヤーは
ラケットで損をしている!

というのが、10,000名以上のラケットフィッティングで得られた結論です。
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