◆ラケットはハイテクマシンではない

新しいラケットが次々と発売され、それらについて、新しい素材や新しい構造が採用されているというような解説を読むと、「新しいラケットは何をしてくれるんだろうか」というような感覚を持つことはないでしょうか?

ラケットの性能を詳しく知りたいと考えている方は多いと思いますが、そういう方は、そのラケットを使えば、誰でもその性能メリットが享受できると考えているかもしれません。


しかし、ラケットを乗り物に例えるなら、車のようなハイテクマシンではなく、自転車(実用車ではなくスポーツ用)のようなものではないか私どもでは考えています。


車はモデル毎に性能が異なりますが、同じモデルであれば誰が乗っても、だいたい同じような性能を発揮します。
人間はそれに乗って操作しているだけですので、街中であれば、車の性能が乗る人によって大きく変わるということはないわけです。
ですから、車の性能を詳しく分析して、希望に合うものを選ぶというやり方が可能なのです。


それに対して、自転車は車よりもっとローテクで、人がペダルを踏まないと進みませんし、そのスピードは乗る人の能力次第です。
ですが、その人の体格に合ったサイズを選らんで、乗りやすいようにハンドルやシートなどのポジションが調整されていて、ギアやブレーキなどのパーツがきちんとメンテナンスされていれば、乗る人の力が100%発揮されます。

反対に、フレームサイズが合わなかったり、ポジションが合わなかったり、パーツに不具合があったりという状態では、乗る人の力が充分に発揮できません。
合わない靴が歩きにくかったり、走りにくかったりするのと同じです。


自転車は乗る人次第ですから、「この自転車は時速何キロ出るの?」と尋ねるのがおかしいということは分かるのですが、それに近い気がするのが、「これはどんなラケットなの?」「スピンはかけやすいの?」「コントロール性は高いの?」というような質問です。
この質問に正確に答えようとすれば「人それぞれです」というしかありません。
つまり、絶対的に「良いラケット」というのはどこにも存在せず、有るのは合うラケットと合わないラケットだけなのです。

メルマガ等で新しいラケットを紹介する時に、不特定多数を対象にするのであれば、「これはこんなラケットです」などと言えるのですが、特定の誰かに質問されると言葉につまってしまいます。
その人がどう感じるかが予測できないと、何を言っても外れそうな気がします。


◆ラケットは人間の邪魔をしなければ良い
 

テニスをするのは人間であってラケットではありません。
コートを走り回るのは人間の足であり、飛んでくるボールに対して適切なタイミングと力加減でラケットを振るのは人間の腕です。
ラケットはその腕の先にあって、ボールを打つのに使われるだけです。

そういう視点に立てば、テニスの動きのほとんどをやっているのは人間ですから、ラケットが何かしてくれると期待するのは間違いだということが分かります。


こんなことを言い出すと、「そうさ、要は腕なんだから、ラケットなんか何を使っても同じだ。」ということになって、ラケットショップの立場が危うくなりそうですが、実はそうではありません。

テニスにおいて機能しているのは人間で、ラケットは単なる道具なのですが、そうだからこそ、ラケットが合わないと人間の運動性能が落ちるのです。

ラケットは人間の運動をボールに伝える位置にあって、ショットの結果を左右します。
プレイヤーがショットの結果を気にする限り、プレイヤーの動きはラケットの特性によって大きな影響を受けます。
つまり、飛びすぎる可能性が高いラケットではアウトしないように動きを抑制し、飛ばないラケットではネットしないように、力を入れて打つようになります。

ネットせずアウトもしない打球を打ち続けようとする際に必要とされる調整が一番少なくて済むラケットが「合うラケット」であり、プレイヤーの動きから緊張を減らし、無心で打つことを可能にします。


テニスの場合も自転車と同じで、身体に合ったラケットを使えば、プレイヤーの能力を充分に発揮することができますが、合わないラケットではパフォーマンスが落ちるのです。
そういう意味で、プレイヤーの能力以上の力が発揮できるラケットを探そうとするのは間違いで、プレイヤーの能力が100%発揮できるモデルを探すのが正しい選択だと思います。
もっと言えば、プレイヤーの動きの邪魔にならないラケットがベストなのです。


◆フィットしている状態は意外に狭い

ラケットのパフォーマンスは、「モデルの性能×スイングウェイトの選択×ストリングセッティング」で決まりますので、身体にあったラケットとは、モデルの性能だけを指しているのではなく、当然、スイングウェイトの選択とプレイヤーに合わせた適切なストリングセッティングをも含みます。

そして、その合っている状態というのは、大雑把なものではなく、一般に考えられているよりかなり狭いといえます。
試打したラケットのスイングウェイトやストリングセッティングが分からない状態で、打って気に入ったら、そのまま買ってしまうというのも、その辺を大雑把にとらえているからでしょう。
買ってみて「あれっ、違う!」ということになるわけです。

モデルの性能×スイングウェイトの選択×ストリングセッティング」の組合せの許容範囲はかなりシビアで、気温条件やコートサーフェス、身体の疲労状態などが変わると、合っている範囲から外れてしまいます。
欲を言えば、その時のベストセッティングに対して面圧で+3と-3が用意されていると万全です。


「ラケットがフィットしている状態」に入っている時、プレイヤーには余裕が生まれます。
ラリーを続けるためにはネットせず、アウトもしない状態をキープしなくてはならないのですが、そのミスしないための許容範囲が、狭いと感じる時と広いと感じる時があります。
ネットしないように打つと、すぐにアウトしてしまいそうな気がする時と、その反対で、深さ調節が1m単位で自由にできそうな気がする時が、あったりはしないでしょうか。
ミスしない許容範囲が広く感じられる時が、フィットしている時です。

その状態から、ストリング面圧を変えただけで、フィットしている状態が何処かへいってしまい、変な調節をしないと入らなくなったり、打ったあとで身体に力が入っていたり、ボールを相手コートに入れるのが難しいと感じて、余裕がなくなったりするのです。


結論ぽいことをを言わせてもらえば、多くのプレイヤーはラケットの性能や機能に期待しすぎているのかもしれません。
ラケットの機能に期待するより、人間の機能に着目して、それが邪魔されずに100%発揮できるようなラケットを選ぶというのが正しい方向性ではないでしょうか。


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